自己肯定感・自己有用感

 民間の教育研究所が行った調査では,日本の子どもは他の国の子どもに比べて,様々な面で自分自身を低く評価する傾向があるのだそうです。これは,大人が,子どもの姿に満足していないことを反映していると言えるかもしれません。さらに,日本では,古くから減点評価法に代表される欠点指摘主義や,「自分を下にして相手を立てる」という倫理観によって,否定的な自己概念が形成されてしまう傾向が強いように思います。子どもたちは,自分自身を否定的に見る一方で,周囲の期待に応えることを第一に考え,必要以上に自分自身を大きく見せようとする傾向があります。すると,人間関係づくりにおいて『(自分に自信はないので)自分自身を正直に出すことはできないが,自分のことはわかってほしい。でも周囲はなかなかわかってくれない。』というジレンマを生みます。
 このように考えると【一人一人が自己肯定感をもてるようになること】は,ある程度意図的にその場を設けてやる必要があると,最近強く思うようになってきました。人間関係づくりにおいても,まず,自分自身の存在を肯定的に受け止めることから始まるように思います。完全には自分自身を肯定的に見れなくても,「自分にだって結構いいところあるじゃん。」(自己肯定感)という気持ちや「自分は集団や社会に(少しは)役立ってるんだな。」という気持ち(自己有用感)がもてるようになることは,とても重要なことです。
しかし,自己肯定感・自己有用感を育むことを意図的に行うような教育活動は,意外と思い当たらないのが実態です。そこで,安田中学校では,ぜひそのような機会を設けたいと思っています。

<プライドとポリシー>

「自己肯定感=自尊感情」というとらえ方が一般的です。でも,自尊感情という言葉は,「自分だって結構いいところがあるじゃない。」というのとは少し違うように思います。自尊感情をプライドと訳すならの話ですが…。プライドは,【自分自身を尊重する】あるいは【自分に自信をもつ】という意味では大切なことですが,【自分を押し通そうとする意地・自意識】という面では,むしろ多くの弊害が出てきます。逆に,もっともっと大切にすべきなのが【ポリシー】。一見すると頑固さをイメージしてしまうけれど,人間はポリシーがないと,環境や人間関係が変わったとき,周囲に流されてしまいます。
今の子どもたちを見ていると「プライドあってポリシーなし」と感じてしまうことがあります。ポリシーには「こんな人間になりたい。」というような大きなものから「自分は絶対ゴミを路上に捨てない。」というようなものもあるでしょうが,友だちがどうであろうと,そこだけは絶対曲げない強さを中学生には大切にしてほしいものです。
  <余計なプライドを捨てて,ポリシーをもて!>
ということを今,強く感じています。(自戒の意味も含んでいます。)
                     (平成22年5月17日校長室だより第5号より)